【Pioneer’s Session VOL.4】住田志衣奈 × 星享汰 × 津村絵美子 <後編>
平素より慶應ラクロスへ多大なるご支援、ご声援をいただきありがとうございます。
今回は第4回となる対談の後半をお届けします。
第4回は、慶應ラクロス部を支えるスタッフから「マネージャー」をテーマに、卒業生からは住田志衣奈さん(2008年卒)、星享汰さん(2020年卒)、現役部員からは津村絵美子(4年)に参加していただきました。
後編の様子もぜひお楽しみください。
前編はこちらから。
マネージャーの仕事において”見えないけれど重要”だと思う部分はありますか?
住田さん:
見えない部分ね。
なんか津村さんの話聞いてても、すごい自分で考えて向き合ってるなって思ったけど、まさにそこだなと思ってて。
とにかく考えること。チームのこともそうだし、選手のこともそうだし、 自分自身のことも。自分がどう関わるかっていうところも、私は大学4年間全て注ぎ込んでたので、ずっと考えてたなって感じがします。特にマネージャーとして求められることは、ちょっと先回りすること。選手とかが目の前の1つのプレーとか1つの試合に向き合ってる時に、自分が先回りして、その後何が起こるかなって考えとくことによって、チームがスムーズに1日とか1週間とか1年を終えられるかなと思うので。
例えば、アップはみんなするんだけど、ダウンとかってあんまちゃんとしてくれないというか、苦手な人が多いなって思うんだけど、なんでかなって考えた時に、例えば大事な試合とかでね、勝ってみんな嬉しい、ばーっと盛り上がるじゃない。
その時にダウンしようって言っても、なかなか耳に入らなくて。卒業して社会人になってからだったけど、集客試合の時に、あえて試合直後にスタンドに選手たちが上がって、家族とか応援しに来てくれた方と一緒に写真撮る時間をもう10分決めて入れたのね。そうやって、ほんの10分そういう時間を入れることで、選手たちも、応援してくれた人たちにこう感謝したりとか、次の集客に繋がったりとか、来てくださった方もやっぱり選手と近くで写真撮れたり、自分の子供と写真撮れたとか喜んでいただけたりしたね。その10分をちょっと入れることによって、その後のダウンに、みんなスムーズにというか、勝った気持ちをしっかり噛みしめながらダウンをして、また明日を迎えるっていう風にできたりしたので、 勝った後にじゃあどういう時間の使い方がいいかなとかを、ちょっと先回りして考えるっていうのはすごく大事なことかなって思ってましたね。
星さん:
その通りだと思います。
住田さん:
すごい綺麗に言ってるけど、できるようになったのは全然社会人になってからだったけどね。
星さん:
わかります。学生の頃にもっとできたなみたいなのはいくらでも出てきます。
先を見る力。先を見て、全体を見るとかそういう能力はすごい大事ですよね。
僕も社会人になってから必要だったなって思う力なんですけど、やっぱりリーダーシップっていうか、人を動かす力みたいなのって、すごいスタッフにとって重要だなって思いますね。先ほどのお話であった、ダウン前に10分の時間を設けるみたいなところもそうですし、そうやって仕組みを作って、人が動きやすくするっていう観点でもそうですし。
撤収時間ギリギリで怒鳴っちゃうみたいな話があったと思うんですけど、怒鳴られると選手は基本的に負けず嫌いなんで反発したくなる習性があるので。僕もそういう対応しちゃってたので、すごいわかるんですけど。でも今思うと、もっと効果的な言い方とか、選手自ら進んでボールアップ一周したくなるような言い方があったのかなみたいなところとか、そういう感情面とか人間的な部分で人を動かすことができたら結構最強だなって今となっては思います。
津村さんは現役としてどうですか。
津村:
そうですね。お二方と共通してる部分が多いと思うんですけど、先回りするにも、選手を動かすにも、日々の小さな経験の積み重ねをしっかり貯蓄しておくことが、いざとなった時の臨機応変の対応力に繋がるし、先回りに対してのいい働きかけができるなって思うので、普段のところで、ここもっとこうした方がいいとか、こうすると選手あんま聞かないなみたいなのを、練習面でも事務作業の面でも、少しずつしっかり貯めておくっていうのが、周りには見えてないし自分も気づいてないかもしれないけど、ものすごく大事になってくるなっていう風に個人的に思っていて。
スタッフってサボろうと思えば多分いくらでもサボれて、なんか力を抜こうと思えばいくらでも力抜けると思うんですよ。ただ、いざとなった時にそういうのができるかできないかは、日々どれだけ真面目に取り組んできたかとか、全力でやってきたかどうかは個人的には考えていて、そういう部分で言うと日々どれだけアンテナを張って、それをしっかり貯めておけるかってのは見られていないけど、大事にしておくとスタッフとしての価値って高まるんじゃないかなって個人的には思っています。
特に大変だったエピソードや乗り越えた困難があれば教えてください。それを通してどのように成長しましたか?
津村:
結構最初の方は困難だらけで、1つはすっごいマニアックなんですけど、フェイスオフの練習中の対人の笛を吹くのがめちゃくちゃ苦手だったんですね。すんごいちっちゃいことかもしれないんですけど、1番困難で。その時、ビクターさんっていうすごい主力というか、もう慶應の、日本のトップ選手みたいな人の練習を私が壊したって思ってしまって。もうショックというか、もう何やってんだろう自分みたいな感じで、当時1年生だったんですけど、 もういかにその笛をうまく吹けるようになるかが1番の、もう4年間の中で1番の課題で。ひたすら先輩マネージャーの笛の動画見たり、私が同期の選手にちょっと聞いてほしいって言って、練習終わったところで聞いてもらったりとか。それが1つのエピソードなんですけど、他にも色々ありますね。
でもそういう時になんで頑張れたかって、やっぱり自分はこの慶應ラクロスっていうチームが大好きで、そこに対して、自分も一緒に成長したいし、自分のやれることはやりたいし、足は引っ張りたくないっていう思いがすごく強い分、責任感もあって、練習をもっといいものにしなきゃと思えたり、自分の大好きなチームに貢献したいっていう思いがあって、その困難なことも別に自分に対する成長する1つのステップだと思って取り組んでいるっていう感じです。
星さん:
そうですよね。
笛のところとかは、プレイしてないとやっぱわからないですよね。
住田さん:
奥が深いよね。なんかただ吹くだけじゃないんだよね。私多分未だにマスターできてないわ。年々進化してくしね。
一生懸命向き合ってることがすごいよ。
津村:
当時はグラウンドの端で大泣きしてました笑
住田さん:
そうなの。
星さん:
ビクターに怒られたっていうことですか。
話せる範囲でお話し聞きたいです笑
津村:
ビクターさんがこれ見てたら笑ってくれると思うんですけど、なんか機嫌悪くなっちゃって。笛のタイミングを色々ずらしてほしいみたいな風に頼まれて、自分の中では頑張って1・2とか1・2・3とか1・2・3・4とか言ってやってて。でも、どうしてもビクターさん的には一緒になっちゃうのか、ちょっとタイミングが私と合わないみたいな感じになって。それで、別のマネージャーを呼んできてほしいみたいな状況になって、これはやったな自分みたいな感じで。結局このおかげですごく仲良くなれました笑
星さん:
あーよかった笑
ビクターは僕が4年生の時の1年生とかで、懐かしい。
住田さん:
星くんはエピソードなんかある?
星さん:
そうですね。大変だったエピソードはもういくらでもあるんですけど。なんかいい感じに話せるエピソードはなかなか難しいですね。
本当に僕らの代の頃って、多分1番ラクロス部が問題を起こしてた時なんですよ。自己紹介の時に言った丸子橋が使えなくなったこととか、僕が1年生の時に使えなくなったんですけど、毎年何かをやらかして、主務が謝りに行くことになるみたいな感じで。
主務のイメージが謝罪する人みたいなイメージになったっていうぐらいの世代だったんです笑
自分も4年の時には主務やってたんですけど、問題が起きた時はすごい大変でしたし、仕事の漏れがあったりとかして、自分の仕事をミスると、すごい全体に響いちゃうこととかあるので。160人分の予定とか時間とかが変わっちゃったとか、そういうところはすごいメンタル的には来たなって感じですし、それで結構ボロボロになりながら、最後ギリギリで走り切ったみたいな感じでした。現役時代を乗り越えたっていうよりも、最後までとりあえずやったって感じでしたね。なので、当時引退した後は疲れたなという感じで、休もうって思ったんですけど。今思うと、その経験があったから、今の自分の仕事のキャパとかわかったなと思ったりしますし、自分の能力とか、自分がいつ限界来るのかとか、全体を見ることって大切だよなみたいなこととか、そういった気づけた部分もいっぱいあったので、困難は乗り越えたかわかんないですけど、今になって思うと、それがあったから精神的には大きくなったかなって思います。
津村:
主務って書類1つ間違えたら大会でれなくなっちゃうみたいなレベルの責任を持って仕事しなきゃいけなくて、 同期の主務も日々緊張と不安の中頑張ってくれてます。
星さん:
頑張ってるんですね。僕は日吉陸上競技場を取ってくださいって言われて取れなかったとか、 すごい大やらかししてるんで。それでもなんとかなります笑
言い方は良くないかもしれないけど、 それでもなんとかなってる先輩がいるっていうのをね、その子に伝えてもらえれば。メンタルを健全に保つ方が大事だと思うんで。
ぜひちょっと追い込まれてそうだったら、それを伝えてあげてください。
住田さん:
私は乗り越えたことって言われて思い浮かんだのが、4年生になる時かな。
幹部とかを決める時に、選手を卒業して、いわゆるBチーム、Cチームのコーチを誰がやるかっていうのを同期でミーティングで決める機会があったんだけど、そのミーティングがやっぱ今でも忘れられない。
なんとも苦しい思いというか、辛い時間であり、忘れられない時間だったなっていうのをすごく思い出した。
今でもBチームってサテライトって呼んでる?
初めて聞いたかな。なんか当時は、Aチームはトップチーム、Bチームいわゆる2番手のチームはサテライトで、3番手のチームをノバって 呼んでたの。 1年生がアーセナルで計4チームいたんだけど、そのサテライトとノバのコーチを決めるというところでね。やっぱみんな選手として頑張ってきて、最後の1年っていう時に自分の役割を全員が考え直して、そこから誰がどういう役割するかっていうのを、同期ですごい仲良かったんだけど、その仲いい同期たちで真剣に話し合うみたいな時間はすごい忘れられなくて。
自分はマネージャーとして何かポジションが変わるとかじゃなかったんだけど、やっぱなんか自分の気持ちもすごく改まったし、その時間を何回も重ねて、同期全員で決めて、選手としてトップで試合に出て貢献する人と、 来年以降の若い選手たちを育てることに専念する人たちと、そういう役割分担をしながら、最後の1年迎えたっていうのはね、今でも忘れられないエピソードですね。
BとかCって呼ばずに、サテライトって人工衛星っていう意味で、周りを回りながらトップを強くするとか、ノバも新しく光を放つ星みたいな意味があるらしくって。そういう意味とかも、その時自分で調べたりして、なんかイカした名前つけてるなとか思ったりしたな。
星さん:
めっちゃかっこいいっすね。
住田さん:
かっこいいよね。
そういうの調べてったりすると、当たり前に呼んでたことでも意味とか知ったら、ますますチームを好きになったりして、そういうことで課題を乗り越えた経験はありましたね。
津村:
部活って、全員がやりたいことをやれる環境じゃない分、 裏で色々頑張っててもその人の意思が全部通るわけじゃないし、マネージャーって色々見るじゃないですか。だからこそすごいそれを見てるのは結構自分も特に1年前めちゃめちゃ辛くて、だからこそ、自分の与えられたている環境では、この人たち全員に貢献できるようにというか、本当に手抜いちゃいけないなって自分も今思い出しました。
住田さん:
そうなんだよね。ほんと、原動力になるよね。
意外とこんなすごいこと考えてたんだって思うよね。普段すごいおちゃらけてたりさ、それこそゴミを拾わない人がそんなこと考えてたら。その時のミーティングを思い出すと今でも涙が出そうになる。
みんなそれだけ熱い思いを持ってる証拠だから。それがぶつかって当然だし。すごく大事な時間だと思う。
「慶應ラクロスのマネージャーをやってよかった」と思った経験を教えてください。
住田さん:
なんかさっき言ったミーティングみたいなことも繋がりますけど、卒業してから年々良かったなって想いが強くなってて。そういうすごく濃い時間を一緒に過ごした人たち、同期も先輩も後輩も、一生の仲間ができたっていうのは、慶應ラクロス部に入ってよかったなって思う。それが1番かな。人の繋がりというかね、そこで出会った人と過ごした時間。
私は1人暮らしだったので、家族よりも1番長く時間を過ごした人たちだったから、その人たちと今も続いているその繋がり。卒業したら、さらに実感すると思います。今も楽しいと思うけど、卒業して感じることもまたいっぱいあって。
星さん:
間違いなく、その繋がりっていうのは、やっぱり強いですよね。
日本一っていう目標に向かって一緒にどんな形であれ関わってきた人たちなんで。僕は正直プライベートとかは同期と過ごしたことってほぼないんですけど、 飲み会とかもそんな好きじゃなかったし。でもやっぱり部活っていう繋がりがあるだけで、社会人になった今でも、むしろ飲み会に参加して久々に会いたいなみたいな思ったりします。僕ぐらいの年になるとみんな結婚し始めるんですけど、式に呼んでもらったりとか、SNSで結婚しましたみたいな報告を見たりするとね、そういう繋がりがあって良かったなとすごい感じますね。
住田さん:
あと私は慶應だけじゃなくて、協会の強化部の活動とか外のチームにも関わる機会をすごく意識的に持ってたので、他の大学の皆さんとか、あとJLAの協会の方とか、審判の方とか、あとプロのトレーナーだったり、そういう慶應のチーム以外の人たちとも繋がりがすごく恵まれていてそれも本当に良かったと思ってますね。
チームのことで、日々忙しいと思うんだけど、たまにそうやって外に学びに行ったりとかするのも、現役の皆さんにはぜひおすすめしたいなと思ってて。それこそ星くんなんか體育會の中での他の競技の皆さんとの繋がりとかもきっとあっただろうし、なんかそういうところにまた新しい学びがあったりもすると思うので、ぜひぜひと思ってます。
津村:
慶應のラクロスのマネージャーって考えると、選手たちは強さを見せてくれる。ラクロスのレベルの高さは、 やっぱり他の大学では簡単に見れるものじゃないなって思ってます。レベルの高いラクロスを週5で見れるっていうのは、 すごい貴重で恵まれた環境で自分はマネージャーできるんだなって思います。
ちょっと1歩引いた考えになっちゃうかもしれないんですけど、 今引退がどんどん近づいてくる中で考えた時に、慶應ラクロスのかっこよさというか、強さを自分が支えてこれたことはすごく自信にも繋がるし、みんなにありがとうって最近はずっと思ってます。
ただ、強いチームのマネージャーって結構いいとこも悪いとこもあると思って、強いから自分も強いって思うのは絶対違うなと思ってて。
その環境を自分がどう生かすかというか、どう使っていくかは常に考えとかないと。スタッフも強いみたいなふうに他チームからは見られたくないなっていうのは結構思いますね。
星さん:
めっちゃ大人だね。
住田さん:
すごいね。
津村:
気づかぬうちになっちゃう部分ってあると思うので。
住田さん:
そうだね、確かに確かに。
津村:
それこそ色々なラクロスの環境を見てみたり、身を置くことってのは、 自分たちだけに依存しなくて、広い視野を保ち続けられるなっていう風に思っていて。
自分は結構審判でいろんな大学の人と関わっているんですけど、アンダーであったりとか、そういう部分でも関わってくればよかったなって最近すごく思うので、もっとラクロスに浸るというか、チーム以外にもエネルギー使いたかったなってのはありますね。
住田さん:
やることがいっぱいチームの中にあるからね。
津村:
そうなんですよ。
住田さん:
審判だけでも十分だよ。違うチームの皆さんと関わると気づくことがいっぱいあるよね。
津村:
本当にそうです。違うところもそうですけど似てるとこも。
みんな同じ悩みを持ってたり、本当に刺激になります。モチベーションにも繋がりますし。
住田さん:
そうなんだよね。だからなんかね、武者ってみんな言うのかな。
慶應って他のチームに行く人少ないのかな、今でも。
津村さんが言っていた自分のチームが強いっていうことにプライドを持つのはすごい大事だけど驕るのとはまた違うから。気負いすぎずにというか、もっと気楽にちょっと遊びに行くっていうとあれだけど、友達作りに行くくらいの感じで他のチームを見に行ったりとかすると、本当に刺激になるし。またそれを自分のチームに持ち帰るもいいし、自分の中に秘めて、自分をどんどん強くしていくのもいいし。外に向けて行くのもすごくいいかなって。
星さん:
そうですね。僕は現役の時あんまりやらなかったので、もっと行けばよかったなと思います。
最後に、現役部員に向けて一言お願いいたします。
星さん:
日本一目指して頑張ってください。インスタの広報とか総監督の澤本さんが流してくれるお知らせとかを見ても、組織として僕らの時代よりも全然進化してるなっていう風に思いますし、僕らの頃は0・100みたいな考えというか、ついていけない人はきついだろうなみたいな、組織として、柔軟性がないところとかもあったりしたなって今思うと感じるので、そういったところとかはすごい進化してると思いますし、もうラクロスに関わっていない自分からでも見てわかるくらいに、皆さん頑張ってると思うので、それが日本一っていう結果に絶対繋がると思いますし、もうそれだけで財産だと思うので、また今後も陰ながら応援しておりますので、ぜひ頑張ってください。今日はありがとうございました。
住田さん:
チームもいよいよ目指すところに近づいてきてるなと思いますけど、私が入部するきっかけにもなった日本一っていうてっぺんを目指しているからこそ謙虚な気持ち、学びの姿勢というか、そういうものも忘れずに。慶應ラクロスっていう、パイオニアだからこそ、パイオニアとしてのプライドと謙虚な気持ちと両方を持ちながら、残りのシーズンをしっかり全うできたらいいのかな。
そういう時間を過ごせると社会に出ても必ず役に立つので。社会に出てからその時間が本当によかったなって日々思えるようになると思うので、残りのシーズン突き進んでください。応援してます。頑張ってね。
本日もお楽しみいただけましたでしょうか?
ご多忙の中ご協力いただいたお三方には、心より感謝申し上げます。
次回の更新は1月上旬を予定しておりますので、ぜひお楽しみにお待ちください!