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日記リレー

【日記リレー2022 vol.12】「日本一への、覚悟はあるか?」〜蔵野蒔奈(4年/文学部/MG/神奈川県立市が尾高校)〜 

岸くんからご紹介いただきました、4年マネージャーの蔵野蒔奈です。

岸くんは本当に穏やかで、とっても優しい人です。試合中、怪我人が出ると相手でも味方でも一番に駆け寄るのが岸くんです。自分が試合に出ている時でさえ、ハーフラインまで走り出した時は流石に焦りました。

緊迫した試合状況の中で、何度も岸くんの優しさにチームが助けられてきたと思います。

くんとつけて呼ぶと距離を感じると言われたことがありますが、これはむしろあだ名で、親しみを込めて呼んでいることをわかってほしいです。

さて、3年間読んできた日記リレーをついに私も書く番になりました。

一部の方はご存知の通り私の文章は抽象的で長く、非常に読みにくいかと思いますが、せっかくの機会なので正直に書いてみようと思います。

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なんでスタッフになったの?と聞かれることがあります。

私は、人の役に立ちたい、誰かのためになりたい、そう思って入部しました。

そうやって誰かのためになることが、自分にとっての生き甲斐だと思ってきたからです。

でも2年生、3年生と学年が上がるにつれて、その気持ちに違和感を感じるようになりました。

自分自身が役に立とうとどれだけ業務に全力を尽くしていたとしても、

選手が活躍する姿を見れた時、試合に勝った時、

私の中に残るのは、表現の仕様のない喜びや感動、そしてそれを与えてくれる選手への感謝の気持ちで、「誰かのためになれた」という達成感ではなかったからです。

これはもしかしたら、私がまだみんなの役に立てたと自負できるほどのことを、成し遂げていないからかもしれません。

でも、誰かのためになりたい、誰かの役に立ちたいと思って入部したはずだったのに、

結局自分の方が勇気や感動をもらっている立場であって、

実際は役に立つことはおろか、与えてもらうものに対して、私の力では返しきることさえできないのかも知れないと気がついた時から、

役に立つとはどういうことだったのか?

私がこの部活にいる意味はどこにあるのか?

そんな疑問や葛藤と闘うようになりました。

私は普通の人間なので、何かここで特別な方法や打開策を見出せたわけではなく、ただひたすら悩み考えて過ごすことしかできませんでした。

結局スタッフにとって、自分が役に立てているのか、そこに自分の存在価値があったのか、そんなことは最後まで、もしかしたら永遠に、わからないのだろうと思います。

むしろ今の私にとってそれらは、さほど重要なことではないのかもしれません。

私は、自分が役に立つことに満足したいわけではなかったんだと気がつきました。

私がマネージャーをする理由は、もっとシンプルで簡単なものでした。

選手がくれる感動や勇気、あらゆるものに対して、少しずつでも返していきたかったから。

返しきれないものばかりの中でも、それでもこのチームの一員でいたかったから。いさせてほしかったから。

もしかしたらこの文章が後ろ向きに聞こえる方もいらっしゃるかもしれないですが、

これが私がマネージャーをする理由で、こう思うことでむしろ前向きに、自分らしく毎日過ごしてこられました。

自分が誰かの役に立てているか、その勝利に、自分の業務はどれだけ影響を及ぼせたのか、それはとても大切な指標の一つです。

ただその一方で、それらは残念ながら目に見えるものではなく、自分では分からないものです。

だからこそ、それらばかりに囚われてしまうよりも、

何をしても返しきれないものたちの中で、それでもどうにか返そうと奮闘すること、そのために目の前の全てに直向きになることの方が、

私にとってはもっと大切なことだった、という答えを出しました。

慶應のスタッフは一貫して、「強いスタッフ組織」を目標として掲げてきました。

日本一にスタッフが連れていくんだ、と代々受け継がれてきました。

それが本来あるべき姿なのだろうと私も信じていますし、そんな姿に憧れて私も入部しました。

だから私のこの答えは、もしかしたら不正解なのかもしれません。

それでも私は、自分の出した答えを信じて、そう信じさせてくれた周りの方々への感謝を忘れず、

みんなが見せてくれる勇姿や感動に、残りの全ての時間をかけて、少しでも追いつこうと足掻きたいと思っています。

もしも、万が一、それがどこかで誰かの役に立ってたりなんかしたら、それ以上望むことは何もありません。

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ちょうどこのようなことを考え始め、悩んでいたのはONEシーズンからDEVOTEシーズンの中盤頃までだったと思います。

とくに塞ぎ込みがちだった2年生ONEシーズンの頃、そんな私のどんな言葉も感情も全て受け止めて、そのままでいることを肯定してくださった当時のMGリーダーの方をはじめ、お世話になったスタッフの先輩方に、今も心から感謝しています。

そして、その時期も含め下級生の頃から、いちスタッフのそんなウジウジにも気がついて話を聞いてくれた、同期たちにも感謝しています。

恥ずかしいのでここには書きませんが、ある時にもらった素敵な言葉のおかげで、私は今でもスタッフを続けられています。

他にも、練習内外でたくさん助けてくれた同期たちに、もう一度感謝の言葉をお伝えしたいです。本当にありがとう。

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選手のみなさん。

選手の活躍する姿を近くで見られること、それが私の全てのモチベーションでした。

それは試合に勝つこととか、試合で活躍することだけが全てではありません。リハから復帰して試合に出ている時、アフターで誰よりも真面目に練習している時、ベンチの後ろで一人悔しがっている時、そんな仲間に気がついて寄り添っている時、BチームCチームで頑張っていた選手がAに呼ばれた時。

あるいは、チームや後輩を思って、心を鬼にして厳しく指導しようと奮闘するコーチの姿。

その全ての瞬間が、私の原動力です。

練習についていると、色々なところが見えてきます。

ラクロスを楽しむ姿や、葛藤しながらも愚直に努力する姿は皆さんが思っている以上にスタッフの力になっていると思います。

そしてそれと同じように、皆さんが後ろ向きな気持ちになったり、頑張れない時も、見ていたら自然と気がつくものです。

「日本一への、覚悟はあるか?」

という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?

新歓の時にもらったビラに書いてあった言葉でした。他の代でも使われていたので、聞いたことがある方も多いのではないかなと思います。

日本一への覚悟。

言葉の解釈は人それぞれなので、これに正解も不正解もないと思っています。

ただ、4年間この部活で過ごしてきた中で、私なりに出した解釈を少しお話しさせてください。

当たり前のことを、当たり前にすること。

間違いだと分かっている道に、自ら足を踏み外さないこと。

簡単なようで、何よりも難しいことです。

そして難しいから、それができる人はかっこいい。

そんな難しい当たり前を当たり前にできる理由こそ、誰しもがいつの日かに一度は決めた、覚悟なのではないでしょうか。

日本一になるその瞬間、自分がどこの場所にいたとしても、胸を張って喜べるような日々を過ごすこと。

自分に対して後ろめたくない毎日を、積み重ねていくこと。

「日本一への、覚悟はあるか?」

私はこの言葉を、そんなふうに解釈しています。

もしかしたら、日本一という目標を今はとても遠くに感じている人もいるかもしれません。

私個人的には、必ずしも全員が常に「日本一」を文頭に置けなくてもいいと思っています。

チームを一つ上げること、人事を一つ上げること、ウィンター優勝。 

いまはその目標がどこにあったとしても、

一度は自分で決めた覚悟だと、目標に責任をもって、貫く強さをもって、

ABCもアーセも、スタッフも、それぞれの覚悟を持って取り組める部活でありたいなと思います。

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私がここまで書いてきたことは、もしかしたら全て「きれいごと」なのかも知れません。

スポーツの世界では、勝利こそが正解で、実力こそが正義なのかも知れません。

それでも私は、各々の「きれいごと」に真剣になれる力も立派な強さだと、心からそう信じています。

そしてそんな強さを持ったチームこそが日本一であるべきだと、このチームがこれから先もそんなチームであることを願っています。

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最後に、口下手ながら感謝の気持ちをお話しさせていただきます。

スタッフのみんな。

あともう少し、ついて来て欲しいとか、力を貸して欲しいとか、そんな事を言うつもりはありません。日本一という目標は、決して4年生だけのものではなく、みんなと一緒にみんなで目指して来たものだからです。

スタッフをやっていたら、楽しいことより辛いことの方が多いかもしれないけど、

悩んだり、苦しんだりした時、一緒に過ごしてきた時間がみんなの勇気や慰め、きっかけや決心、そんなものになったらいいなと、

私にとって先輩方との時間がそうであったように、そんな風にあれたらいいなと思っています。

同期スタッフのみんな。

みんなの姿に何度も奮い立たされ、みんなの優しさに何度も助けられ今日まで来ました。

信じられないほどやり直した準備民、備品リスト、夜中まで探した備品車、何度やっても揃わないゴールパーツ。つい最近のことのようで、あっという間に4年生になっていました。

後悔も未練も何も残さず、終わりましょう。

同期のみなさん。

話した総分数が2分にも満たないような選手ばかりだったけど、去年あたりからは、みんなと仲良くなれたと思っています。どうでしょうか?笑

ラクロスを楽しくやる選手が多いことが、私の代の素敵なところだと思っています。

みんながラクロスをする時、部活に向かう時、いつも楽しいことばかりじゃないことも理解しているつもりです。色んな葛藤や悩みを抱えながら、ラクロスに向かう日だってきっとあるだろうと思います。

だからこそ、それでも、

みんながいつも楽しくラクロスをしていてほしいです。

長くても後3ヶ月で引退です。

この文章もなかなか書き終えられなかったように、気持ちの整理をするには、私にはまだ沢山の時間が必要なようです。

だからまだまだ、まだまだ、引退はできる限り遠くの先にあってほしいですし、

みんなとより長く、日本で一番最後まで、一緒に部活ができたら嬉しいです。

引退するその時、どんな感情かは想像もつかないけれど

同期のみんなが、晴れやかな気持ちでその日を迎えられることを、心から願っています。

次は黒柳さんです。可愛い人だ、という噂をよく聞くものの、クールな見た目と視線に怯んでなかなか話しかけられませんでしたが、今年になって少し言葉を交わせるようになりました。

夏合宿の行き帰りの車内も、話し下手な後部座席二人のために頑張ってくれていました。

どんな紹介文を書かれるのかヒヤヒヤしていますが、素敵に書いてくれることを期待します。

よろしく。

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