【日記リレー 4年 田中聡貴】
その刹那、大きな何かが光を遮った。
今年も2頭身のあいつがやってきたのか。
彼はまだこちらの様子をうかがっているようだが、今年も優しく受け取めてあげよう。
どうもパンツェッタ・パニーニから顔を受け取った田中だ。
未だ見ぬものを見たい。志の高い人間と日々切磋琢磨したい。何か大きなことを成し遂げたい。この思いで私は上京した。かつて維新を目指して江戸に出た清河八郎と同じ18の時だ。私は信じていた。東京で出会う人間は将来の日本を動かしていくような刺激的な奴らだと。
私はラクロス部に入った。それまでたくさんの組織を見てきたが、1番血気盛んなこの部に決めた。各個が日本一を掲げ、黙っていればただ流れてしまう時間をしっかり手繰り寄せるように価値あるものに変えていく。それも自分たちの意志によって。そんな先輩方に憧れたわけだ。この部の良さはまさにここにあって生き方そのものを学んでいるような気がする。
しかし、今年は下級生に申し訳ないことをした。私たち上級生と絡む時間があまりにも少なかった。ただ、武蔵小杉で全員集まった時には銘銘が慶應ラクロスの未来を見据えていて安心したのを覚えている。きっと大丈夫だ。
有意義な時を経て、私は今クリアリーダーを担っている。今年からできたポジションだ。正直、馬鹿にされることの方が多くて悔しかった。しかし、私は誇りもってやってきた。やり遂げなければならない。部の中枢を任せてくれた主将の期待に応えたい。
かつて日本海海戦において丁字戦法を提言し、勝利に導いた秋山真之はマクロな戦略よりもミクロな作戦や戦術の方が重要だと考えていた。
ラクロスでも同じような考え方ができる。すなわち、大事なのはシステムではなくて、日頃から言っている抽象的な意識点だということ。特にクリアは相手のライドありきだから、臨機応変な対応を要する。だから、一人ひとりがあらゆる状況にも応用して使えるような基本的な知識を理解しておかなければならない。というよりこれに尽きる。システムはそれらの意識点をわかりやすくイメージできるものに過ぎない。したがって、練習の時には私が言っている意識点を逐一大切にしてほしい。自分で大事だと思ったことは共有してほしい。また、失敗してもクリアリーダーの責任だから、自分でこうだと思ったことは自信をもって挑戦してほしい。
そして、試合で何もできていない自分だけど、各ポジション皆意見をたくさん出してくれてありがとう。Bチームも毎度わがままを聞いてくれてありがとう。最後まで全員でつくっていこう。
次はナカガワンツェッタ・インディーニだ。インディー車は壊れていてクサイ。エアコンをつけると、蚊が湧いてでてくる。でも、いつも送ってくれてありがとう。おれはインディー車が大好きだ。よろしく。